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私たちが取り組む社会課題

「もし生まれ変わったら、フツウになりたい」そんな言葉に、あなたはどう答えますか?

日本にも、様々な生きづらさを抱えて生きている人がいます。その生きづらさの多くは、本人に課題があるわけではなく、環境が生み出しているものです。

家庭環境や親の価値観、教育、世間の一般常識。多様性が尊重されない環境で育ち、他者との差異を否定的に捉え、フツウであろうと葛藤する若者たち。

フツウじゃなくちゃ、ダメですか?

就労支援の現場で出会った人たちの多くは、幼少期より困難を感じていたけれど「フツウ」の枠に押し込められて見過ごされてきた人たち。彼らの生きづらさにもっと早く誰かが気付いていたならば・・・と悔しく思う場面が多くあります。

大人になると、働けないのは「自己責任」と見られ、子ども達のように「社会で支える」という理解にはなかなか至りません。その子らしさが尊重され、個性を伸ばすことができたならば、違った人生だったかもしれません。家族にも、理解とサポートがあれば、多様な将来を描けたかもしれません。だけど、時間は遡れません。

大学を卒業しても、就職しても、生きづらさを感じている人はたくさんいます。当法人が運営している就労移行支援事業所利用者のうち、およそ75%は大学等の高等教育機関を卒業(一部中退)した人です。学生でもなく仕事もしていない、いわゆるニートと言われる人は60万人、ひきこもりといわれる人は70万人発達障害の特性の見られる児童は6.5%(30人の学級だとおよそ2人)、うつ病の患者数は100万人以上、精神障害者の手帳所持者は400万人以上いると言われています。それでもまだ、差別や偏見をおそれ、数字に表れないけれど生きづらさを抱えている人も存在しています。大卒就職率98%と発表されている一方で、文部科学省の平成30年度学校基本調査によると、7%(14人に1人)が進路未決定のまま大学を卒業しています。中退者を含めると、大学に進学しても希望する就職ができない人が多く存在することが見えてきます。

「生きづらさ」にぶつかり、この先の未来に希望が持てなくなってしまった人に、何度だって人生はやり直せることを伝えていかなければなりません。彼らの多くは失敗しない人生を歩まされてきたため、失敗からの立ち直り方を知りません。

「フツウじゃなくてもいいんだよ」と言うのは簡単です。ですが、20年以上フツウであろうと必死にもがいてきた人に、その言葉はなかなか届きません。多様な生き方を知り、ありのままの自分が承認される経験を通し、時間をかけて、人は自分らしさを取り戻していきます。

私たちが届けたいのは、現代の日本において雇用されるためのノウハウではありません。全ての人が、自分らしさを受け止め、自分らしい生き方を楽しんで欲しい。そのためには、彼らが自分らしさに向き合うための支援と同時に、社会のダイバーシティ理解促進も必要です。誰一人排除されることなく、多様性が尊重される社会を目指して。

「人生終わり」じゃない。そう思える機会を、全ての人に届けていきたいです。