ページのキービジュアル

【メディア掲載】岐阜新聞 連載コラム『素描』 第3回「福祉が生み出す持続可能な小さなビジネス」

岐阜新聞 連載コラム『素描』に、当法人代表理事 後藤千絵が8回にわたり寄稿しております。
第3回は、「福祉が生み出す持続可能な小さなビジネス」です。

===================================================================
 
 岐阜の夏の風物詩「長良川鵜飼」が始まりました。鵜飼観覧船の乗り場からすぐ近く、川原町の一画に1組限定の貸し切りの宿「帰蝶」をオープンしたのはコロナ禍の2021年5月末のこと。町屋の奥で1週間に1組のみのお客さまをお迎えする隠れ家のような宿ですが、おかげさまで稼働率は90%以上、予約が困難な宿に成長しました。
 
 「帰蝶」は実は就労継続支援B型事業所(障害者の就労支援施設)「アリー」で運営しています。障害者の仕事でいうと、つい軽作業などになりがちですが、私がこれまで出会った障害のある人の多くは「やりがいのある仕事」を希望していました。「やりがいのある仕事」の選択肢として、「岐阜の魅力を発信するゲストハウスを障害者施設で運営しよう!」と考え、アリーをオープンした直後にコロナの影響で全国のゲストハウスが閉業。私たちも事業計画の変更を余儀なくされました。
 
 そこから週末1組限定の宿「帰蝶」の構想が生まれました。帰蝶の収益は月4回の宿泊代のみ。平日はアリーとして運営し、主な固定費は就労支援施設の経費となるため、帰蝶の利益は全てアリーで働く障害者の収入となります。宿泊施設の経営としては普通では考えられないやり方ですが、今ではその手法を知りたいと、福祉・地方創生の両視点で全国から視察が来る施設となりました。
 
 コロナ禍におけるどん底から帰蝶の成功は結果論でしかありませんが、特に地方創生や地域課題解決において「単体」では成立しない事業も、福祉との組み合わせで持続可能な事業となる可能性が見えてきました。

===================================================================
岐阜新聞Web(会員限定記事)→ https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/388253

■岐阜新聞2024年5月21日付掲載■

バックナンバー

第1回 「疑問は行動の原動力

第2回 「念ずれば花ひらく