【メディア掲載】岐阜新聞 連載コラム『素描』 第2回「念ずれば花ひらく」
岐阜新聞 連載コラム『素描』に、当法人代表理事 後藤千絵が8回にわたり寄稿しております。
第2回は、「念ずれば花ひらく」です。
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アリーは就労継続支援B型事業所という障害者の就労支援施設で、2019年に岐阜市の川原町にオープンしました。町屋を改装した施設は古い町並みに溶け込み、長い廊下を抜けてアリーの扉を開けると、中庭から柔らかい光が差し込む癒やしの空間が広がります。
コンセプトは「大人の女性が安心して通える場所」。障害福祉の世界に飛び込み、女性障害者は在宅状態でも「ひきこもり」ではなく「家事手伝い」とみられ、支援が行き届いていないことに気づきました。女性が「ここに通いたい」と思える施設を造り、女性の社会参加を促進したいという思いから生まれました。オシャレなカフェのような心がときめく空間にしよう、それまでの障害福祉の「古い」「ダサイ」というイメージを刷新しワクワクする場所にしようと、内装や家具、水回りにもこだわりました。
意気揚々と開所したのは19年10月。やっと利用者が数人集まった年明けに新型コロナウイルスが広まり、福祉事業所にとっても厳しい時期が始まりました。問い合わせは激減し赤字続き。団体の存続すら危ぶまれる状況に追い込まれました。
それでもなお、無謀にも挑戦を続け、21年4月にはクラウドファンディングで264人から489万5千円を調達し、1組限定の貸し切りの宿「帰蝶」をオープンしました。そこから間もなくアリーは黒字化しましたが、厳密な計画ではなく結果論でしかありません。「念ずれば花ひらく」といいますが、ピンチを乗り切ることができたのは「女性障害者の居場所をつくる」という多くの人の願いと覚悟のたまものだと思っています。
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岐阜新聞Web(会員限定記事)→ https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/385439
■岐阜新聞2024年5月14日付掲載■
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