【設立10周年に寄せて】


サステイナブル・サポートは、2025年7月10日、設立から10年という節目を迎えることができました。この間、私たちの活動を支え、共に歩んでくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
10年前、私たちがこの法人を立ち上げたとき、目の前には制度のはざまで取り残されている人々の姿がありました。障害がある、ないに関わらず、「働きたいけれど、働けない」――そんな声にならない声を、見えないままにしてはいけない。「自己責任」として支援から取り残されがちな若者や大人の生きづらさに寄り添う人が必要だ、そう思って始めたのが、サステイナブル・サポートの原点です。
これまで、障害者の就労支援をはじめ、ひきこもり状態の若者、生活に困難を抱える女性、大学に通うグレーゾーンの学生まで、さまざまな「働きづらさ」と向き合ってきました。現場では、決してきれいごとでは済まされない、複雑で根深い課題に直面してきましたが、その一人ひとりと向き合う中で、私たちは「支援とは、制度ではなく関係性から生まれるもの」だと学ばせていただきました。
そしていま、「共に働く」ということの意味が、社会の中であらためて問い直されています。多様性や包摂といった言葉が広がる一方で、実際の現場にはまだまだギャップがあります。福祉制度をビジネスチャンスのように捉え展開していくモデルも広がっています。だからこそ私たちは、地方都市・岐阜の小さな支援団体であることに誇りを持ち、「本人主体の支援」を守り抜き、誠実に多様な人々の「生きる」「働く」に向き合っていきたいと考えています。
この10年は「試行錯誤の10年」でした。次の10年は、「実装と発信の10年」にしていきたいと思っています。
これからも、現場で声にならない声を聴き、制度の隙間に光をあて、誰もが「はたらく」をあきらめない社会を目指して――。
変わらぬご支援、ご協力を、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
一般社団法人サステイナブル・サポート 代表理事 後藤千絵